十一代将軍 家斉は、希代の女好きで、多産家。その御台所のとく子は、京より下って、大奥に入ったが、家斉との関係は、当然薄い。貧乏御家人の白野弁蔵は、夜の江戸城中、提灯に火を灯す下っ端役人。ただ、目付支配の探索役を負っている。
この中年の二人が、事件の勃発により、知り合った。ただただ、お互いに好意を抱いたのだ。二人は、絶対に、話しすら出来ない境遇。若い者とは、異なり、それだけでも、二人にとっては、幸せなのだ。大奥の入り口に提灯を灯しに来る弁蔵を陰から、そっと覗く女と、それを感じる男。歳は中年だが、幼い恋の物語。筋書きは、メチャ荒唐無稽なれど、二人の心情が暖かくて、涙が出そう。
本差し上げます。 kodama@parc.co.jp
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